靴擦れの布
紳士物のズボンの裾には「靴擦れ布」と言われる布を付ける事が多いです。
カジュアルなものにはあまり付けませんが、スーツ等きちっとしたものには付けます。
その名の通り、革靴との摩擦によるダメージを軽減するためです。
本体よりも先に靴擦れ布がすり切れるので、それをまた新しい物に変えれば本体の生地のダメージは少なくて長持ちさせる事が出来ると思います。
本体の生地を補修するより靴擦れを取り替えるほうがイージーですし。
所謂オーダーなどでは生地耳(生地のブランド名など織られている)部分を使う事が多いです、既製品では詰めてカットした残りの布から作り出したりします。
時々インポートのものにはテープ状のものが付属していたりします。
付け方もほとんどの場合、後半分、かかとの方にだけ付けます。
エッジからほんの僅かはみ出るようにつけます。
「共地を使い、後半分のみ」
が標準で、それ以外無いとばかり思っていました。
ところがイタリアものを主に扱うとあるお店では、標準の仕様が
「(コットンの)テープで、一周つける」
でした。
どちらの場合だとしても違いはとくに無い物と、深く考えていませんでしたが、今ではどちらかというと後者の方が良いように思ったりします。
というのも、綿テープだと前後のクリースの保持がしっかりする(綿なので折り目が残り易い)
それと付け方にもよりますが、裾に重みがついたようにストンと落ちる。
これは薄手の軽い生地には効果的だと思います。
あともうひとつは、この形状の綿テープは国内では手に入らず海外から手に入れないといけないレア感…でしょうか。(その為若干お値段プラスになります)
職人やお直し屋によって手順の違いもあるかと思いますが、とくにダブルで仕上げる場合テープ一周の方が形状の保持力はしっかりしていると感じます。
手持ちの紳士物のテキストには後半分を手縫いで付ける方法が書かれていました。
日本国内ではこれが基本なのだと思います。